なぜ、私なの?―賭博師シェルの奸計により、少女娼婦バロットの叫びは爆炎のなかに消えた。瀕死の彼女を救ったのは、委任事件担当官にしてネズミ型万能兵器のウフコックだった。高度な電子干渉能力を得て蘇生したバロットはシェルの犯罪を追うが、その眼前に敵方の担当官ボイルドが立ち塞がる。それは、かつてウフコックを濫用し、殺戮のかぎりを尽くした男だった…弾丸のごとき激情が炸裂するシリーズ全3巻発動。
SFはあまり読みません。それでもこれはめっちゃくちゃ面白かったです。万人に薦められる本だと勝手に思っています。
かなり科学技術が発達した未来の設定ですが、世界観はしっかりしているし、話の展開もスピーディー、難解の用語も出てくることもないので全3巻スラスラ読めます。
物語の土台には、証人保護だとか生命保護といった法律関係があるんですが、その中にSF活劇がふんだんに盛り込まれてる。『攻殻機動隊』みたいなサイバーガンアクションが一番作品としては近いかも。まぁそれがすっごくかっこよく描写されてます。
しかしですね、この作品の最も素晴らしいところっていうのはガンアクションの描写じゃないんですね。もちろんガンアクションはかっこいいし、SFとして出来映えもいい。ただやっぱり一番推すべきところは2巻中盤から3巻の中盤まで続くカジノシーンでしょう!
このカジノシーンっていうのは、物語を進めるうちでは不要なシーンなんです。100万ドルのチップを集めるっていう目的はあるんですが、そんなもん銃振り回してドンパチやらかしてる間に盗めゃいいですよ。そっちの方がアクション性もあるし、この作品の流れ的に考えたらベストなはずなんです。それをほぼ1冊分カジノでルーレットやらブラックジャックやってるシーンの描写ですからね、作品の構成としては完全に破綻してます。
ただ、このカジノシーンが本当に凄い!いろんな書評を読んでも、このカジノシーンはベタ褒めされてます。
ギャンブルの中にある心理戦を活字でここまで描写できるものなのかと興奮しっぱなしでした。ブラックジャックの最後のシーンなんて鳥肌もんですね。凄すぎて僕なんかがここで表現できないのが何とも悔しいのですが、とにかく素晴らしいです!
この作品は本当に最初から最後までページを捲る手が止まりませんでした。海外作品っぽい洒落た言い回しなんかも全然鼻につかないし、むしろ何でもかっこよく読めちゃうんですね。これはもう作者の筆力にやられました。
現在、続編であり、過去の話でもある『マルドゥック・ヴェロシティ』が発売中。心身共に落ち着いたら買います!